マネックスやヤフーが参入、「仮想通貨」の再編・淘汰が止まらない

自主規制団体目指す協会発足も

 コインチェック(東京都渋谷区)による仮想通貨巨額流出問題を引き金に業界の動きが活発化している。業界をリードしてきたベンチャー企業が淘汰(とうた)され、代わりに信用力のあるインターネット証券や大手IT企業が買収などで参入もしくはその意向を示している。一方、金融庁は仮想通貨をめぐる規制の在り方を再検討する有識者会議で議論を開始。業界内でも認定自主規制団体を目指す協会が正式に発足した。業界は再編や規制の強化で信頼を取り戻しにかかる。

コインチェック問題から3カ月余り。この間、金融庁は同庁に登録申請中の16社全ての「みなし仮想通貨交換業者」と、登録業者全16社のうち複数社に対して順次立ち入り検査を実施。

 

内部管理体制、利用者保護、マネーロンダリング(資金洗浄)などの対策不足から、みなし業者10社と登録業者2社に行政処分した。みなし業者10社中7社が登録を断念し撤退を余儀なくされた。

金融庁は2017年4月施行の改正資金決済法で登録制を導入したが、施行前から交換業として営業していた業者をみなし業者として特例で営業を認めていた。

イノベーション促進と顧客保護の兼ね合いで当初は寛容性を示してきたがコインチェック問題を受け顧客保護にてんびんが傾いた。当面、監視を強めていくものとみられる。

こうした中、インターネット証券や大手ITなどが買収による“時間買い”を仕掛け始めた。交換業者になるには金融庁への登録が必要だが、新規参入を目指す企業が100社程度にのぼる。金融庁のマンパワーにも限りがあり、登録までに時間がかかるためだ。

ネット証券大手マネックスグループがコインチェックを36億円で買収、4月16日付で完全子会社化。

松本大社長は、18年3月期連結決算の会見で、改めてコインチェックの交換業への登録に熱意を示した。コインチェックを買収した目下の“うまみ”はその高収益体制にある。

マネックスグループが発表したコインチェックの18年3月期の業績見込みでは売上高が626億円で営業利益が537億円と、売上高営業利益率が約86%に達することが明らかになった。

「リスクが読み切れない」

 IT業界ではヤフーが仮想通貨交換業として参入を表明。完全子会社のZコーポレーション(同千代田区)を通じて、登録業者のビットアルゴ取引所東京(同渋谷区)の株式を取得し、持分法適用会社にする。

18年秋をめどに取引所として運営を始める。一方、サイバーエージェントは交換業への参入を断念した。

同社は理由を「コインチェック事件などもあり、リスクが読み切れないことや参入が遅れることにより競争優位性が保てなくなるため」としている。今後、独自の仮想通貨の開発を検討する意向だ。

規制のあり方をめぐる議論も今後深まりそうだ。金融庁は4月10日に、有識者会議「仮想通貨交換業等に関する研究会」の初会合を開催。27日の2回目の会合で金融庁は交換業者に対するこれまでの対応などを説明した。

認定自主規制団体を目指す一般社団法人「日本仮想通貨交換業協会」(同千代田区)も、登録業者16社をメンバーに正式に発足。

奥山泰全会長(マネーパートナーズ社長)は「ようやく16社がまとまり始動した。

急ぎ自主規制(の整備)を進めていく中で、市場の健全な発展、仮想通貨に対する利用者の不安を払拭(ふっしょく)したい」とした。早ければ7月にも金融庁に認定申請する見通しだ。

業界は信用力のある大手の参入、官民による規制の見直しの両輪で立て直しを図る。

日刊工業新聞社

 

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